2020.07.19
長野県出身、フリーアナウンサーの塩原桜(しおばら・よしの)です。
学生時代は東京で過ごし、前任地は山形、現在働く埼玉や夫の地元である神奈川など、様々な土地に縁があります。
各地の良いところ、おもしろい場所、おいしい物など、どんどん紹介していきます!
今回は埼玉県寄居町の老舗染物店が始めた新しいサービスについてです。
寄居町の老舗染物店「きぬのいえ」
埼玉県寄居町は、山に囲まれた稲作に適さなかったこともあり、古くから養蚕と機織りが盛んだった地域です。
また、町を流れる風布川より湧き出る「日本水(やまとみず)」は日本名水百選に選ばれるなど、自然の恵み豊かな町です。
そんな寄居町唯一の染物店が「きぬのいえ」です。
現在は、3代目の吉田社長と、唯一の染色職人・井澤さんのふたりで寄居の染め物の伝統を守っています。
きぬのいえのブランド「オーロラ染め」は一浴多色染めという一度にすべての染色を行う手法です。
秩父繊維工場試験場が開発した一浴多色染めに、先代が独自の工夫を加え、「オーロラ染め」を完成しました。
同じ染め具合のものはひとつとして存在しませんが、職人の長年の創意工夫により、色の重なりやグラデーションを調節できます。
その見た目が美しいぼかし模様がオーロラのように見えることからその名が付けられた、寄居でしか作れない染め物です。
きぬのいえでは、この「オーロラ染め」をメインに行っていて国内外で商品を展示・販売しています。
きぬのいえの新サービス「SOMA Re:」
「きぬのいえ」が染めの伝統を守っていく中で、昔ながらの文化を広く、そして手ごろな価格で楽しんでもらおうとことし6月に新たなサービスを始めました。
洋服の染め直しサービス「SOMA Re:(ソマリ)」です。
食べ物やボールペンのインクで付いたシミや日焼けなどで着られなくなってしまった洋服を染め直し、再び着たくなる洋服に生まれ変わらせるサービスです。
こだわったのが手軽に使えること。
1枚1000円(税抜き)~という破格で染め直しができるのは、すべて自社でできることと、染めの空き時間を活用すること、そして一度にまとめて染め上げることがポイントです。
一般向けにサービスを作る中で、どんなにいいサービスでも高価だとなかなか手が出ないことから、できる限り価格を抑え、利用者に喜んでほしいと考えました。
「SOMA Re:」の使い方と染めの流れ
染め直しはメッセージアプリLINEからすぐに依頼できます。
染めたいものの写真や素材の表示タグなどを送ると、仮見積もりが届きます。
職人である井澤さん自らが返信をしてくれるため、心配なことや、シミや熱に弱い部分についての説明などもLINEで聞くことができます。
その後、染めたい洋服をきぬのいえに郵送。
洋服の製造段階でもともとついている油や、着用時についてしまった汚れなどを80度のお湯で洗い、きれいにします。
色を調合し、本染めへ。
時間を置き、美しく染め上げていきます。
染めあがったものを乾かし、仕上げをしたら、依頼主に郵送で届きます。
わたしも実際に私物を染め直してもらいましたが、こんな感じに仕上がりました!
依頼したのは数年間着ているお気に入りの洋服たち。
ワンピース、スカート、ショートパンツ、スニーカー。
どれもお気に入りだけど、インク汚れや食べ物のシミでクローゼットに眠っていたものでしたが、新品同然に生まれ変わりました。
驚いたのがその安さです。実際の見積書がこちら!
4点染め直して1万円ほどと、新しく買うよりも安く、お気に入りの洋服も捨てることなくよみがえらせることができました。
ポリエステルは染料で染まらないそうで、、洋服の素材によって染まり方が少し違うのもかわいいんです。
SOMA Re:では価格を抑えるため、黒一色への染め直しを基本としていますが、別注品として好みの色に染め直すこともできるそう。(※別注品の価格は料金表とは異なります)
色についても依頼の際にLINEで相談できます。
染め直しでお気に入りの洋服を!
手元に眠っている洋服があるみなさん、「買う」ではない新たな選択肢として「染め直し」をしてみてはいかがでしょうか♪
昔ながらの「染め」を守りながら多くの人にお気に入りの洋服を楽しんでもらいたいというきぬのいえの思いが生んだ新たなサービス「SOMA Re:」。
これからの時代の洋服との付き合い方を考えるきっかけになるかもしれません。