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異国情緒漂う模様布『天草更紗』を知ってほしい!東京で初展覧会【熊本県】

目次

熊本県天草市出身のフリーアナウンサー山城優子です。天草は、キリスト教や南蛮文化が伝わった地としても知られています。その中の一つ、独特な模様の布『天草更紗』が東京で初お目見え!展覧会にお邪魔してきました。

天草更紗の歴史


 展覧会が開かれたのは、東京・日本橋にある老舗書店のギャラリーです。天草更紗の着物やバッグ、インテリアグッズなど約1,000点が展示販売されていました。初めてご覧になる方も多く
「こんな素敵なものがあったんですね!」
という声が聞かれました。
そもそも天草更紗が作られるようになったきっかけは、『安土桃山時代、舶来品だった更紗が、キリスト教宣教師によって天草にもたらされたこと』。布地には、インドやヨーロッパ風の草花、動物などが描かれています。天草では江戸時代から職人の手によって作られていましたが、後継者不足で途絶えてしまった時期が何度かありました。昭和40年代頃から完全に作られなくなってしまった天草更紗でしたが、ある染織家により平成に入って復活することができました。

染色家・中村いすずさんの思い

 天草市在住の染織家・中村いすずさんです。

市長や文化協会から復元の依頼を受けて取り組むことになりました。ところが、天草更紗の型は残っておらず、資料もほとんどなかったため、新聞記事や年配者の話を頼りに端切れをつなぎ合わせて作っていかれたそうです。試行錯誤を重ね、10年以上かけて完成。自分を信じて続けているうちに確信が深まっていったといいます。
一番苦労されたのは、地元の方に認知してもらうこと。当時は天草の方でも天草更紗のことを知らない方が多く、認知されるのは難しかったそうです。
「いろんな人にいろいろ言われたけど、力をくれたと受け止めている。歴史ある天草更紗の世界観を伝えたい。天草に住んで染めることに意味がある。」
と中村さんは話します。

時代と共に変化する天草更紗の魅力

 途絶えては復活を繰り返してきた天草更紗は、これまでいろんな職人の手によって作られてきました。江戸時代は色も柄も地味で、風呂敷や座布団など日用品に取り入れられていたのが、作り手や時代と共に少しずつ変化していったようです。
一子相伝ではないからこそのよさがある。中村さんは歴史を大切にしながら、今に合った自分なりの天草更紗を製作されています。明るくて、みんなに手に取ってもらえるものにしたい。きれいで、かわいくて、おしゃれな天草更紗を楽しみたいという中村さんの思いが存分に伝わってきます。

天草更紗を使った品々

 マスク、トートバッグ、Tシャツなど、日頃使うアイテムも天草更紗が使われていると特別感が出ます。アートパネルや帯も独特でどれもじっくり見たくなるものばかり。今回の展示の中で一番印象に残ったのが、こちらの着尺(着物に使う布)です。天草を代表するものが二つ描かれているんですが、何だか分かりますか?

答えは『イチジク』と『イルカ』です。見つけられましたか?デザインも色合いも素敵ですよね。優しい雰囲気のものから、パッと目を引く華やかなものまで個性豊かな品々が並んでいました。自分好みの色や柄を探すのも楽しかったです。
天草更紗のことを多くの方に知ってもらい、天草更紗に描かれている風景や文化を確かめに、天草に足を運んでもらえたら嬉しいです。

アナウンサー紹介

元NHK鹿児島放送局キャスター。まち歩き、歴史好きが高じて鹿児島の観光ガイド「薩摩こんしぇるじゅ。」を務めたことも。特技のラッピングはコーディネーターの資格を持ち、どんなものでも高見えおしゃれに変身させちゃいます!得意の婚礼司会をはじめ、子どもプレゼン教室、コミュニケーション講座講師、イベントMCなど幅広く活動。誠を尽くして取り組みます!