こんにちは。九州が大好きなフリーアナウンサーの牛島奈津子です。皆さん、『スープストックトーキョー』のスープ、いただいたことありますか?九州では店舗が福岡県のみなので、実際にお店に足を運ぶとなると、関東が多いかなと思います。東京へ引っ越してきて4ヵ月がたとうとしていますが、たくさんの種類のスープの中に“宮崎”を見つけました!
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スープストックトーキョーで発見!東京で「諸塚村」を食す【宮崎県】
目次
2022.12.29
スープ専門店、その数300種類以上!
スープストックトーキョーといえば、“食べるスープの専門店”として知られていますよね。たくさんの種類があって、優柔不断な私はメニューを決めるのに時間がかかります。週ごと、店舗ごとにメニューが変わるのも魅力で、種類は300以上もあります。お昼時はいつも多くのお客さんで賑わっていて、特に今の寒いシーズンは、スープを食べると心も体も温まって良いですよね。
スープストックトーキョーは、東京を中心におよそ60店舗を展開しています。食材選びはもちろん、季節ごとの食材に合わせて調理の工夫をするなど、手間隙をかけていて、素材の旨みを生かしたスープが楽しめます。一杯のスープを通して、「お客様の体温を上げること」を目指していて、日々美味しいスープをお客様に届けているということです。
私がスープストックトーキョーに出会ったのは、大学で上京してきた時。都会に出て一人暮らしを始め、そんな時にほっとひと息つけた場所でした。そこからファンになり、母にねだって、冷凍パックのスープを買ってもらったこともありました。
オンラインスクールで「なば」について学ぶ
「なば」と聞いて、何のことかわかりますか?九州や中国、四国地方の方言で、特に椎茸、地域によっては松茸のことを指す言葉です。宮崎県諸塚村(もろつかそん)とつないで、農産物などの生産者、食に携わる人たちから、オンラインで3ヵ月間7回にわたって、森とともに暮らしてきた諸塚村について学ぶ機会がありました。
諸塚村といえば、五ヶ瀬町、高千穂町、日之影町、椎葉村とともに「高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム」として、国際食糧農業機関(FAO)によって『世界農業遺産』に認定されています。諸塚村は、伝統的に森林を保全管理していて、全国有数の木材産地となっています。杉などの針葉樹林に加え、椎茸の原料となる落葉広葉樹林なども豊かです。原木椎茸の栽培は、村の人たちの暮らしに深く根付いていて、椎茸を育てることで森が育ち、森を守る循環の1つになっているということです。
【世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域】
https://takachihogo-shiibayama-giahs.com/
諸塚村とスープストックトーキョーとのつながり
どうして諸塚村の話をしたかと言いますと、初めにお話ししたスープストックトーキョーさんと関わりがあることを知ったからです。皆さん、ご存知でしょうか?スープストックトーキョーのメニューに諸塚村の食材が使われているんです。
原木椎茸を細かく刻んで美味しい出汁をスープにした「生姜入り7種の野菜の和風スープ(2016年)」、キクラゲがたくさん入った「酸辣湯(サンラータン)(2015年)」、2020年に新しく始めたスープで、椎茸の軸の方を出汁に使って新たな椎茸の美味しさを開拓した「宮崎県諸塚村しいたけと豆乳のポタージュ」の3種類です。聞いただけで嬉しくなりましたし、食べてみたくなりました。
宮崎に住んで、美味しい食材がたくさんあることに気付き、多くの人に伝えたいと思っていましたが、すでにスープの中に諸塚村の味が溶け込んでいて、たくさんの方々の元へ届いていたんですね。
きっかけは「木」??
諸塚村との取り組みの始まりは2011年になるということで、そもそものきっかけは、素材ではなく「木」だったそうです。木がきっかけってどういうこと?って思いますよね。スープストックトーキョーのお店へ伺うと、温かい雰囲気が感じられます。ロゴマークも白と黒でシンプルですし、木が多いイメージもありました。
スープストックトーキョーでバイヤーや商品企画を手掛ける松尾琴美さんによりますと、心地良い空間を提供すべくシンプルな作りを目指していて、スープに彩りがあるので余計な色は使わないということを空間デザインのコンセプトとし、木やモルタル、ガラスを基調とした店舗作りになっているとのことでした。中でもぬくもりを感じさせる木は、大事な素材で、設計担当スタッフが諸塚村の「どんぐり材プロジェクト」(里山広葉樹林を活用した家具・内装材の開発プロジェクト)と出会ったんだそうです。
スープストックトーキョーアトレ四谷店では、壁面に諸塚村のクヌギとコナラが使用されています。現地視察した際に木材を自然乾燥させるために、樹皮がついたまま板状にスライスされ桟木を挟んで重ねられていた状況を見て、店舗に再現したいと考えてこの壁面デザインにしたということです。さらにテーブルにも諸塚村のクヌギ、コナラの集積材を使用しています。
今までじっくり見たことはありませんでしたが、この木々のおかげで温かみが感じられていたのか、と改めて実感できました。素材や味だけでなく、お店作りからもスープストックトーキョーの温かい想いを感じました。
そんな木を調達しに行った設計担当スタッフから、木だけでなく、良い椎茸とキクラゲあるから行った方が良いと教えてもらい、松尾さんは、諸塚村へ行き、素材に初めて触れたということです。諸塚村の方々と出会い、美味しさだけでなく、自分たちの豊かな生活を守るために椎茸を作っているという想いに惹かれ、
「明日美味しいものを仕入れるだけじゃなく、長く10年後も美味しいものを作り続けられる産地の方とつながりたい」
という思いがあって、取引きを続けているんだそうです。ぜひお近くの方は、アトレ四谷店でスープでほっこりしながら、諸塚村の方々の想いも一緒に感じていただけたら嬉しいです。
宮崎県にはないスープストックトーキョーですが・・・
初めにお伝えしましたように、関東を中心に展開してるスープストックトーキョー、宮崎県にはお店がないんです。日々椎茸を作っている農家さんにもスープストックトーキョー自体を知らない人もたくさんいるので、村の祭りで村の方々にスープを提供したり、村にある特産品販売所でスープストックトーキョーの冷凍スープを販売したりしています。
原木椎茸と菌床椎茸の違いすらしっかりとわかっていなかった私。諸塚村について深堀りする中で、椎茸作りがどれだけ大変で、たくさんの方が関わって私たちの元に届いているのか、それを知ることで、1杯のスープのぬくもりを今まで以上に感じます。スープストックトーキョーさんには300種類以上のメニューがありますので、色々な味も、そしてその背景にある地域の営みも一緒に楽しみたいですね。
福岡県太宰府市出身。北は北海道から南は宮崎まで色々な土地で暮らしてきました。住めば都!地元の人以上に満喫し、楽しむことが得意です。現在は宮崎県在住で、宮崎サンシャインFMパーソナリティ。宮崎日日新聞社が発行する生活情報誌のサポーターとして、取材やリポートのお仕事もしています。3人の子育ても真っ只中。子供の目線も持ち合わせています。