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【熊本県】天草の郷土料理『押し包丁』とは?

目次

熊本県天草市出身のフリーアナウンサー山城優子です。天草には思わず聞き返したくなる名前の郷土料理があります。その名も「押し包丁」。いったいどんな料理?我が家のレシピもご紹介します!

押し包丁とは

 押し包丁と聞いて、皆さん何を想像しますか?初めて聞いて料理だと分かる方はいないのではないでしょうか。
「押し包丁」は、天草地方で昔から食べられている郷土料理で、手打ちの麺と野菜をだし汁で煮込んだもの。小麦粉を押して伸ばし、包丁で切って作ることからその名がついたそうです。
私は高校を卒業するまで天草で育ったので、同居していた祖父母がよく作って食べさせてくれました。今年93歳になる祖母によると、明治時代頃から食べられていたようです。
 そんな生き字引の祖母に、由来やレシピを聞き、初めて自分で作ってみました!

押し包丁の作り方~生地作り~

 それでは、我が家の押し包丁の作り方をご紹介します。材料はこちらです。
    ≪材料 4人分≫
だし汁(水6カップ、いりこ40グラム)
小麦粉・・・200グラム
人参・・・100グラム
大根・・・・・・100グラム
里芋・・・100グラム
青ネギ・・・少々
薄口しょうゆ・・・小さじ2
酒・・・小さじ2

次に作り方です。
いちょう切りにした野菜をだし汁の中に入れ、薄口しょうゆを加えて火にかけます。
続いて生地作りです。小麦粉に少しずつ水を加えながらこねます。耳たぶよりも硬めにしてまとめます。

まな板に打ち粉をし、生地を麺棒で押し伸ばします。昔は、押し包丁専用の正方形のまな板があったそうです。
生地の厚さが5ミリほどになったら、5センチから10センチ幅に切ります。

打ち粉をしながら生地を重ねていき、向きを変え、幅5ミリから10センチに切っていきます。この時、生地をおさえる手に力が入りすぎないように!力が入りすぎると麺がくっついてしまいます。
麺にしては短く見えますが、茹でると膨張するので、箸でつかみやすく食べやすい長さなんです。

押し包丁の作り方~煮込み~

 野菜が入っただし汁に、粉をはたきながら麺を入れます。鍋底にくっつかないように箸で大きくかき混ぜ、3分から5分煮込みます。
仕上げに酒を入れ、小口切りにした青ネギを散らしたら出来上がりです。

時間が経つにつれ、麺が汁を吸ってしまうので、だし汁は多めのレシピです。最後に酒を入れることで,、味が引き立ちます。

硬めの麺は歯ごたえがあっておいしい!噛めば噛むほどお腹が膨れます。
祖母いわく、押し包丁は主に夕飯が足りない時に食べていたそうで、家にある食材で作るので、具材は少なくても麺が主役なのでいいとのこと。
いりこだしで味わい深くいただけます。

押し包丁と○○汁の違い

 ここまで押し包丁の話でしたが、実は熊本県には「だご汁」という似ている郷土料理があります。だご汁の「だご」は、団子のこと。
作り方はほぼ同じですが、味付け、生地の形状と硬さが違います。耳たぶよりも柔らかくこねた生地を棒状にまとめ、手で小さくちぎってだし汁で煮ます。だご汁は味噌を入れることもあります。
せっかくなので、だご汁も作ってみました!

実家では、押し包丁とだご汁が半々くらいで食卓にのぼっていました。

初めて自分で作り、20年ぶりに食べた押し包丁は、祖父母の味とは程遠かったものの、子どもの頃の思い出が蘇り、とても懐かしくなりました。
最近では押し包丁を家で作って食べることが減ってきているようですが、生まれ育った地域の料理、家庭の味を継承していきたいものです。

アナウンサー紹介

元NHK鹿児島放送局キャスター。まち歩き、歴史好きが高じて鹿児島の観光ガイド「薩摩こんしぇるじゅ。」を務めたことも。特技のラッピングはコーディネーターの資格を持ち、どんなものでも高見えおしゃれに変身させちゃいます!得意の婚礼司会をはじめ、子どもプレゼン教室、コミュニケーション講座講師、イベントMCなど幅広く活動。誠を尽くして取り組みます!