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【山口県】創業約100年!お相撲さんが始めた「玉椿旅館」の挑戦(前編)

目次

 こんにちは。山口県出身・在住のフリーアナウンサー、池田モトです。NHK山口放送局でもキャスター・リポーターを務めた私が、山口県の魅力をお伝えします。
今回は、大正時代にお相撲さんが始めた「玉椿旅館」を前編・後編に渡ってご紹介します。

創業約100年 お相撲さんが始めた「玉椿旅館」

 800年以上の歴史がある山口県下関市の「川棚温泉」。その温泉街に「玉椿旅館」はあります。
まるで時が止まったかのような、大正時代の趣を残す風情ある木造建築は、
国の登録有形文化財に指定されています。
「玉椿旅館」は、大阪相撲の十両力士だった山口県出身の玉椿関が、「相撲文化への貢献」と「地域観光の活性化」ため、引退後に故郷の川棚で大正12年に創業しました。
館内には、様々な力士の写真や手形など大相撲にまつわる品々が数多く飾られていたり、往年の横綱の名前の付いた部屋があったりと、相撲好きにはたまらない空間となっています。
築約100年ですが、2020年に営繕工事も行われ、手入れされながら大切に今日まで受け継がれてきました。

老舗旅館に若女将が吹き込む新しい風

 玉椿旅館は、大女将・藤井節子さん、女将・晶代さん、若女将の優子さんの3世代で切り盛りしています。そのうち、経営・サービスを担当するのが若女将の優子さん。
福岡でタウン誌の編集やフリーライターを経験したのち、2017年秋に山口に戻り、旅館の仕事に従事するようになったそうです。
優子さんは「玉椿旅館」の古き良き部分を大切にしつつ、新しいことにも積極的に挑戦。
「旅館を知ってほしい」「自分の思いや考えを伝えたい、共感してくださる方に出会いたい」との思いで、ホームページのリニューアル、SNS、喫茶、定期イベントなどを、ご自身が中心となって行ってきました。
その中から「喫茶部キハル」とオンラインショップ「角力鳥花(スモトリバナ)」にスポットを当ててお伝えします。

地元からもっと親しまれる旅館へ 「喫茶部キハル」誕生

 「喫茶部キハル」は2020年7月にオープン。
「キハル」という名前は、玉椿の「椿」の漢字をばらし、「木春」→「キハル」からつけられました。また、京都弁で「来はる」が「人が来ること」を意味し語感が良いことから、多くの人が集まる場所になってほしいという願いが込められています。

始めたのは「地元の方にも気軽に利用してほしい」という思いからでした。老舗の「玉椿旅館」は、地元の年配の方の多くは、宴会や婚礼で知っている・訪れたことがあるという場所。
しかし世代が若くなるにつれ、行ったことがない・知らないという方が多いことに、優子さんは危機感を持っていました。
また、観光客向けの温泉・旅館が中心の川棚温泉には、立ち寄りできる場所が少なかったため、地元住民からあまり親しまれていないのでは、という寂しさもあったといいます。
「身近な方に喜んでいただいて初めて、遠くから来られる方にも喜んでいただける。観光の方だけでなく、地元の方にも立ち寄っていただける機会をつくりたい」
と考え、
宿泊客がいない時間帯を利用し「喫茶部キハル」を始めました。

メニューは、豪華な「御膳ランチ」や川棚温泉名物「瓦そば」、昔懐かしの「ミルクセーキ」や川棚温泉名物「川棚饅頭」付きの「お抹茶」など。
料理のおいしさはもちろん、ゆったりくつろげる空間と気さくな女将さんとの会話に、何度でも足を運びたくなります。
地元の常連さんも増えており、
「何度もお顔を見せてくださることが、それだけで嬉しい。ちょっとした近況報告や情報交換も楽しいです。」
と優子さんは話してくれました。

 

後編へと続く

前編はここまで。
後編はオンラインショップ「角力鳥花(スモトリバナ)」や創業100年への思いについてです。合わせてぜひご覧ください。

【玉椿旅館】公式サイト

アナウンサー紹介

山口県宇部市出身。元NHK秋田・山口キャスター・リポーター。NHK秋田ではスポーツキャスターとして高校スポーツ、BリーグやJリーグ、オリンピック関連取材のほか、スポーツ雪よせなど幅広いスポーツに関する話題を取材。NHK山口ではスポーツのほか、旅ロケ、中継リポーター、生活情報、ラジオニュースなど様々な分野を担当した。出産を機に退局。現在は山口県在住で、1歳息子の育児に奮闘しつつ、フリーアナウンサーとして活動を始めたばかり。動物園・水族館が大好きで、北は秋田、南は沖縄までさまざまな動物園・水族館に足を運ぶ。最近、地元の動物園の年パスを購入。推しはリスザル。