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よんなな プロジェクト

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分身ロボットに会いに行ってみた【東京】

目次

『分身ロボット』が接客をしてくれるカフェに行ってきました。分身ロボット…一体どんなロボットなのか想像がつきますか?私は、AIによって動き、「コンニチハ」と抑揚のない独特な喋り方をする、いわゆる『ロボット』なのだろうと思い込んでいました。しかし、分身ロボットは私たちが想像する「ロボット」とは別物でした。
まず、動かしているのは『人』。だから、ロボットが話す声も『人の声』。もちろん人だから、噛むことも言い間違えることもあるでしょう。ロボットは全国各地に住む『パイロット』と呼ばれるスタッフから遠隔で操作されます。ロボットに取り付けられたカメラとマイクでお客さんとコミュニケーションを取ります。
東京・日本橋にある『分身ロボットカフェ DAWN ver.β(ドーン バージョン ベータ)』では、障がいのある人などが、自宅から分身ロボットを遠隔操作して接客を行っています。
先日、東京都のスタートアップ事業に関するオンラインイベントの司会をした際、このカフェを運営する『オリィ研究所』のプレゼンを聞きました。
「分身ロボットに会ってみたい!」
という気持ちが高まり、仕事終わりにすぐカフェの予約をしました。
分身ロボットカフェ DAWN ver.β

分身ロボットは新しい働き方

 分身ロボットの名前は『Orihime(オリヒメ)』と言います。Orihimeを製造・開発するのは株式会社オリィ研究所(東京都中央区)。オリィ研究所は2018年から『分身ロボットカフェ』を運営しています。『すべての人に社会とつながり続ける選択肢を』をテーマに、ALSなどの難病や重度障がいで外出困難な人たち、また家庭の事情などで外出ができない人が自宅から分身ロボットを遠隔操作して接客を行います。
オリィ研究所では『障がい』を障害者手帳の有無などではなく、『したいことがあるのにできない状態』と定義しています。ですから、パイロットの中には
「家族の介護があり、自由に外に出られない。」
という方や
「働きたいけど子育て中でそれが叶わない。」
という方もいます。

ロボットによる接客とは?

 各テーブルにOrihimeが一台設置されています。そして、店内には移動できる大きいサイズのOrihimeが何台もいて、料理を運んでくれます。私たちのテーブルのロボットを操作してくれたのは、大阪に住む『泉さん』という女性でした。泉さんが操作するオリヒメの横にはタブレットが置かれていて、そこに紹介文が書かれていました。
「生まれつきのSMAという難病のため、ほぼ寝たきりですが大阪で一人暮らしをしています!わずかに動かせる指先1本と視線入力でパソコンを操作。」
泉さんはとても優しい女性でした。息子がご飯を食べているときも
「上手に食べるね!」
と声をかけてくれたり、息子が食べることに集中していないときには
「〇〇くん、ご飯お口に入れようね。」
と声をかけてくれたり。食事のテーブルに、私以外に、もうひとり大人がいてくれているような気持ちになり、私もゆっくり食事を楽しむことができました。

本格的な『スパイスカレー』が味わえる!

 食事のメニューにもこだわりが感じられました!私が注文したのは『DAWN特製スパイスカレー』。このカレー、三軒茶屋にある人気カレー専門店『Manos(マノス)』が監修していて、15種類ものスパイスを駆使した自慢の一皿なんだそうです。店主の遠藤さんは、スパイスカレーの元祖とも言われる大阪の名店『旧ヤム邸』出身。

私は遠藤さんが大阪にいた頃から彼の作るカレーの大ファンでした。こちらのカレーも、もちろん美味しかったです。ちなみに息子は子供用カレーを注文。完食でした!

『グッドデザイン賞』大賞!1608点の中の1位に

 『分身ロボットカフェDAWN ver.β』は2021年度グッドデザイン賞において、全受賞作品1608点の中から大賞に選ばれました。グッドデザイン賞の公式HPに『審査委員の評価』について記載があったので一部抜粋します。
「分身ロボットの開発を中心に、テクノロジーおよびUXにより就労希望者の「障害」を取り除く画期的な事業。実際に訪れると、ロボットに接客されるのではなく、その奥にいる人に接客されている体感が持てるようデザインされていることがわかる。つまり、ロボットを操縦するパイロットを障害者でもできるように設計されている、ということでなく、ロボットをメディアとして障害のある人との生々しい接点がデザインされていることに強い意義を感じる。」
私はカフェにいる間、
「ロボットに接客されている。」
と感じたことがありませんでした。目の前にいるのはロボットですが、人の温かみを体感することができました。息子も
「またロボットに会いに行きたい!」
ではなくて
「また泉ちゃんに会いに行きたいな〜♪」
と、帰り道も寝る前もずっと話していました。また必ず会いに行こうね。

【分身ロボットカフェDAWN ver.β】
東京都中央区日本橋本町3-8­-3
https://dawn2021.orylab.com/

アナウンサー紹介

大阪出身。地元であるNHK大阪放送局などNHKで8年間報道番組に出演。全国放送での「ニュースキャスター」や「中継リポーター」を数多く経験し、度胸と臨機応変さを身につけました。現在は東京在住。フリーアナウンサーとしてイベントMCやナレーション、企業VPなど幅広く活動中。一児の母でもあり、子育てを通じて「絵本」の魅力を改めて感じ、YouTubeで「アナウンサーが読む絵本」を配信中。撮影、編集にも挑戦。また、防災士の資格をいかして、防災に関する動画も制作。