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スーパーきのこ「はなびら茸」に情熱を注ぎ富山県から全国区に!春日社長の挑戦

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富山県で生産している「はなびら茸」。白く鮮やかで、コリっとした食感ときのこらしい香りもなく食べやすい!さらに栄養価が高いというスーパーきのこに力を注ぎ、銀行員から社長に就任した株式会社森の環(もりのわ)代表取締役社長の春日勝芳さんに女子アナ47の長崎真友子がお話を伺いしました。

見た目、香り、食感、旨味…五感で味わうキノコ「はなびら茸」の魅力とは?

ー「株式会社森の環(もりのわ)」、どんな会社か教えてください。

弊社は、菌床きのこを菌床の製造から販売まで一貫体制で行っている会社です。昨年度は、菌床約140万本からしいたけ790トン、キクラゲ90トン、それから3年前から始めたはなびら茸170トンを生産しています。はなびら茸は、既に日本一の生産高になっていると思います。

菌床製造には、約1,000トンの間伐材のチップとおが粉を使用しており、使い終わった菌床を土に戻す循環型/未来農業にも取り組んでいます。

ーありがとうございます。今、一押し商品はなんでしょうか。

もちろんはなびら茸ですが、まだ、ほとんどの方がご存じのないきのこで〝幻のきのこ〟とも言われています。自生のはなびら茸の見つけ難さや流通量が少ないことが〝幻〟の所以ではないかと思います。

日本では、年間しいたけが約7万トン、マイタケが約5.5万トン生産されていますが、はなびら茸の生産高は、1%未満と極僅かです。

 そんなはなびら茸ですが、魅力がいっぱいの〝スーパーきのこ〟と確信しています。魅力の一つは、食材として見た目が白くて綺麗!独特の香りと食感、旨味。大げさに言うと五感で楽しめ、和洋中どんな料理にも合い、主役でも脇役でも幅広くお料理ができます。

きのこは、昔から抗腫瘍や免疫力向上効果があるといわれ、食物繊維のβグルカンが注目されていますが、花びら茸の含有量はダントツです。また、世界が注目する栄養素で、98%の日本人が不足しているとの調査もあるビタミンDの含有量は、日本の食品の中で群を抜いています。しかし、生のままでは、ビタミンDは検出されませんが、人間と同じで日光(紫外線)を浴びることによって生成されます。

ー腸活とか今ブームになっていますけれど、それに役立つ、牽引していく存在にもなりそうですよね。

そうですね。おいしいものを食べて、健康のお役に立てればとおもっています。

ーコロナ禍で、私も免疫力を高めてコロナに感染しないようにしなきゃということでキノコ料理ばかり作っていたんですが、はなびら茸を料理すると、子供たちもコリコリした食感だったのもあり、味も食べやすくとても喜んでいました!

きのこ嫌いのお子さんも多いとお聞きしているのですが、シイタケやマイタケなど独特の香りが嫌なんでしょうね。きのこ嫌いのお子さんでもはなびら茸は大丈夫と、うれしいお声も寄せられています。是非きのこ嫌いのお子さんたちにもファンになって欲しいなと期待しています。

社名の込められた農業への想い、地球の環境と健康を考えた取り組み

ー会社はどのような体制で運営されているのでしょうか?

農業はまだまだ労働集約型の産業で、約130人の方に働いていただいています。正社員は、50名弱ですが、障害者の方や海外からの実習生、70歳以上のパートさんなど多様な働き方を積極的に受け入れています。障害者雇用の優良中小事業主として厚労省からも認定をいただいています。働くすべての人が、いきいきと働きがいのある環境を目指していきます。

ー社会にどのような形で貢献したいと思ってお仕事されていますか?特に力を入れていることなどありますか?

農業で新しい会社を創ろうと、2018年10月、森に始まり森に還るを掲げ、商号を〝森の環〟に変更しました。あわせて会社の目指す方向を明確にするために経営理念と行動指針を新しく作りました。

会社の目指す一つ目は、心豊かな食生活に貢献すること。もう一つが地球の健康に貢献することです。敢えて心豊かにしたのは、健康で和やかで心がうれしくなる食卓をイメージしています。また、地球の健康には、人も自然の一員であるとの思いを込め、環境問題への取組や食べて健康になることに貢献できる企業を目指しています。そのため農業において、新しい価値を創造することに挑戦しています。

はなびら茸の挑戦もまさに、心ゆたかな食と健康への貢献です。また、農業は自然に優しい産業と思っている方が多いのですが、特にきのこ生産は、1年中24時間空調が必要で大きな環境負荷をかけています。

森の環の誕生ともに、約5,000㎡の空き工場をリユースしたのですが、太陽光と地中熱の再生可能エネルギーを活用して、エネルギー負荷を半分以下に削減しています。また、これまでのしいたけのパックはトレー包装でしたが、ピロー(袋)包装に切り替えました。生産効率が上がり、ごみの削減や鮮度保持フィルムの活用で長持ちしたり、いいことが多いのですが結構導入には苦戦しました。

そのほか段ボールに穴を空けたり、名刺やファイルを環境負荷の少ない素材に切り替えたり、できることから取り組んでいます。

尚、この秋には、しいたけとキクラゲで有機JAS認証を取得予定です。廃菌床を使った循環型農業の試験生産をしてきましたが、耕作面積を拡大して本格的に有機農業に取り組む準備を始めています。

富山県から全国に挑む「はなびら茸」広報!失敗から学んだこととは?

ーたくさんの方に商品を知ってもらって、会社の取り組みも知ってもらって、ブランディングしていると思うのですが、具体的に取り組まれていること、努力されている広報分野ってありますか?

マスマーケティングとそれからデジタルマーケティングなど色んなものがあって、ターゲットが非常に広くなっているんですよね。キノコは健康に良いから、様々なターゲットの方に召し上がっていただきたい。それがなかなか広がらない中で、ちょっと時代遅れなマーケティングを始めました。1つは、「つまんない毎日にはなびら茸」っていうコピーなんですけど、なかなかその意味に気づいていただけなくて…

マーケティングがこれまでのマスメディアに加えて、インターネットメディア等多様化していて、大変難しくなっていることを実感しています。クロスメディアマーケティングが課題になっています。

チョッと時代遅れかもしれませんが、花びら茸の認知度向上策の一つとして〝つまんない毎日にハナビラタケ〟ってコピーを作ってみましたが、なかなかその意図が伝わっていません。

ーん…わかんないです。

つまらないの反対は、〝快調〟な毎日…。快腸です。

ー …あー!そういうことですね。腸!「快腸な毎日…!」

もう1つ作っているのは「”森の大トロ”はなびら茸」という。

健康機能としての部分、それから食材としての森の大トロ、この二枚看板を様々なメディアで、SNSも含めて発信していこうとしています。

また、はなびら茸は、やはり召し上がったことがないからどうやって食べるの?という質問が非常に多いんですよ。ですから今、色んな方々を呼んでレシピを開発して、発信しようという動きをしています。トロのように人気食材になることを期待しています。

 食べ方のご質問をたくさんいただきますので、有名シェフやいろいろな方にレシピを作っていただき発信しています。

ー女子アナ47もご当地の食材と合わせたレシピを考えて発信するというお手伝いを微力ながらさせていただきましたね!続いて、失敗から学んだエピソードなどありますか?

失敗ですか。大小数えきれない失敗の連続です。トライアルしなければ新しい価値は生まれませんが、エラーはしないですよね。大きな失敗の一つは、有名な媒体でレシピ動画を作ったのですが、ほとんど販促にはつながりませんでした。その理由は、はなびら茸がスーパーで買えないことです。消費者視点で考えれば、当たり前ですよね。普段スーパーで買える食材だったらよかったのですが…。

ーそうですよね。今御社で努力されている動画制作だったりとか、コラボレシピを営業ツールにして、むしろスーパーとかに置いてもらえる営業ツールとして販路を広げていく、富山を中心にしながら”関東”をメインターゲットにするのもありだと思うんですよ。ブランディングがあった上で関東に売っているところが少ないので、ここでは買えますよ〜!と希少価値を高める。営業活動という実利を取っていくことなども全然やっていくといいですよね!と私は思いました。

地方にはありますよね、発信力が!例えば不適切か適切かわかりませんが、それぞれがフランシスコザビエルになれるかどうかっていうところだと思うんですよ。新しい価値を広めるには、地道な努力が必要です。大袈裟化かもしれませんが、わたしたちが、フランシスコザビエルのようになれるかどうかです。

ーほほ〜!

その時にやっぱり私たち売る側がはなびら茸を好きになっていなくてはいけない。私は当然好きだから情熱を持ってはなびら茸を作っているわけなのですが、たった1人でも良いから、仲間を増やしていくという活動が大事なことじゃないのかなと思っています。その時に大事なのがいわゆるそれが商業だけのビジネス事業だけで考えてしまうと間違うかもなって気がしています。

作り手で売り手である私たちが、はなびら茸に惚れ込むことが大事です。もちろん私は、はなびら茸の大きな可能性を確信しています。情熱をもって諦めないで、いろいろなご縁を大切に広めていきます。

ーそうですよね。ファン化ってすごく大事なんですよね。自分事化とも言いますが、私たちも少しお手伝いさせていただき、女子アナ47で関わった人はおそらくはなびら茸のことを好きになったと思いますし、それこそ”ザビエル”になりうる人もいる。1人ずつ地道に仲間を増やしていくって大変ですが、大切なことだと思います。

地域発展に寄与したい!銀行勤務時代に感じたこととは?

―ご自身の中で大切にしている言葉だったりとか、生きる糧にしているものとかありますでしょうか?

いろいろありますが、生き方の基本は〝人間万事塞翁が馬〟。奇跡の出会い、ご縁を大事にすることです。また、企業経営では、〝不易流行〟、社会性と事業性のハーモニーを大切にしています。失われた何十年かで、際立ってしまった〝今だけ、自分だけ、金だけ〟へのアンチテーゼです。不易と流行、そして道徳と経済の調和をめざしていきたいと強く思っています。

ー不易流行ですね。あと今までにも何度かお話させていただきましたが、人のために何かしたいという気持ちを春日社長から言葉の節々で感じたのですが、そのような思いはどこからやってきているんですか?何か経験があったからですか?

大学を卒業して地方銀行に入ったのですが、特に動機があったわけではなく、ほかに2つ受けて、受かったのが銀行だったからです。入行当時は、高度成長真っ只中で、その後バブル崩壊やリーマンショック等激動する中で、微力ながら地方銀行の使命である地域経済に貢献できたのではないかと思います。しかし、それが段々と内向きになってきたのを肌で感じ、それには自分なりにかなり抗ってきた気がします。縁あって経営者になって、企業は何のために存在するのかを常に考えています。人間は、本能的に自分さえよければ良いと思うものですが、自然の摂理の中で生かされていることを肝に銘じています。

もりのわのフィロソフィメッセージである 〝Listen,all things in nature〟です。

ー余談ですが、趣味・特技は?

新しいものが好きな習性があるみたいで、いっぱいあるのですが…。一番長続きしているのが、農作業です。今嵌っているのが、大自然の中で汗を流して、よもぎの薬草風呂で疲れを癒す。生きていることを実感できる至福の時です。

将来的には、温泉近く自然に囲まれた隠れ家で、晴耕雨読。薪ストーブと犬があるといいですね。

ー素敵な夢。ほっこりしますね。ありがとうございました。

ありがとうございました。

春日勝芳社長プロフィール

株式会社森の環 代表取締役社長
春日  勝芳(かすが かつよし)

長野県坂城町出身。大学卒業後、1981年に八十二銀行に入行。89年から西武百貨店への2年間の研修出向を経験した。2012年に長野県内の大手青果卸売に出向し、13年に転職。17年から「森の環」の社長を勤めている。富山県の自宅の長野県の二拠点生活を送る。(64歳)

 

企画・制作
女子アナメディアPR局

アナウンサー紹介

2008年九州朝日放送株式会社にアナウンサーとして入社。20011年より東京にてフリーアナウンサーとしてフジテレビ「スーパーニュース」、TBS「はなまるマーケット」、テレビ朝日「グッド!モーニング」日本テレビ「女神のマルシェ」などでレギュラーを務める。
2015年に地方創生アナウンサー団体「女子アナ47」を運営する株式会社Cheeringを設立。ソーシャルビジネス創出、企業や自治体の企画・PR、イベント、動画制作、スピーチアカデミーの運営など、アナウンサーのキャリアを生かしたビジネスを展開している。