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医師の「患者を診たい」、患者の「医師に見てほしい」 双方を支えるサービス~息子がくれた大切な夢~

目次

病院で診察を受けているときに、パソコン操作に追われているお医者さんを見たことがある人も多いのではないでしょうか。kanata株式会社の代表取締役、滝内冬夫さんは、のちに白血病とわかったお子さんの診察に付き添ったときに、なかなかお医者さんと目が合わないことに気づいたといいます。電子カルテの開発に10年以上関わってきた滝内さんですが、電子カルテへの入力作業が医師をパソコンに縛り付けていると知りました。「お医者さんが、不安を抱える子どもや家族と向き合う時間を作りたい」。そんな思いから、診察中の自然な会話を音声認識によりテキスト化しシステムに自動転記するサービス、「スマート秘書kanata!」を開発しました。

創業して3年、商品開発から広報活動までご自身で行う滝内代表取締役にお話を伺いました。

【聞き手:石田鮎美(女子アナ47 元NHK大阪放送局キャスター)】

創業のきっかけは白血病と診断された息子   

ーまず、御社の経営理念について教えてください。

創業のきっかけは、社名でもある息子の奏向(かなた)です。

息子は遊びでも習い事でも、何に対しても一所懸命な人間でした。白血病と診断されましたが、最期まで一所懸命な生き様を見せてくれました。息子のように病気と闘う人、仕事を頑張っている人、とにかく「一所懸命生きている人々を支えたい」という思いで会社を作りました。当社は、サービスの提供だけでなく、日々の行動を通じてそのような人々を支えていくことを目指しています。

ー御社が提供するサービス「スマート医療秘書kanata!」も息子さんのお名前が入っているんですね。このサービスについても教えてください。

はい。息子の診察に付き添った際に、パソコン操作に追われているお医者さんに出会いました。実はお医者さんには診察の内容を正しくかつわかりやすく記録することが求められているんです。そこで診察中の会話を要約してシステムに自動転記するサービスを開発しました。

医療関係者の働き方改革のお役にも立てるものだと考えています。20209月にリリースし、現在約20の医療機関で導入されています。また今年(2022)、音声認識の精度をより高めたkanaVoをリリースしました。マスク越しでの会話もしっかり音声認識してくれます。

ー私も今2児の子育てをしているのですが、子どもを連れて病院に行ったときに、お医者さんがなかなかこっちを見てくれなくて不完全燃焼というか不安なまま帰ってきたという経験があります。

ーkanata!は私たち患者側にも嬉しい機能ですね。

当時は、私もまさに不完全燃焼という感じでした。もっと子どもを見てもらいたかった。だから、kanata!を使ってくださっているクリニックの患者さんと話す機会があって「先生が最近優しくなった」とおっしゃっていたのが、本当にうれしかったです。もともと患者さんを診たいと思っていらっしゃる先生は、何も変わってないんです。本当に一所懸命に診察して下さっているんです。ただ患者さんに向いてくれるというだけで優しくなったと感じるんですよね。

開発した「言語処理技術」を被災地で活用

ー創業されて間もないと思いますが、社会貢献の分野で取り組まれていることはありますか。

うちはまだ会社としての体力がないので、地域貢献らしいことはできていないのですが、社是の「一所懸命生きている人々を支えたい」という延長線上で取り組んでいることがあります。弊社が開発した自然言語処理技術を使って災害時の情報の可視化に利用していただくという研究です。災害時、各避難所では「こういうボランティアが欲しい」「こういうお薬が必要」などの情報をSNSでアップしているんですよね。そういったSNSの情報を私たちの言語処理技術を使って要約する。しかもそれが位置情報と一緒に要約できたら、例えばドローンなんかでいち早く避難所に必要な物資を届けることができるようになると思うんです。

広報は面白い!自分でやらなきゃもったいない!

ーそれでは本題の広報戦略についてもお話を伺っていきたいのですが、御社が取り組む広報活動について聞かせてください。

広報とは「出会いの場」だと思っています。ですから、分野を問わずお声がけいただいたら時間が許す限りお目にかかるということを意識して行っています。

広報って一番楽しい仕事だと思うんですよ。だから自分が行かなきゃもったいない気がするんです。「世の中の人はこういうことを求めているんだ」とか「こういうサービスを考えたらいいんじゃないか」とか「今あるサービスに、さらにこんな機能があったらいいんじゃないか」とか、広報活動を通じて多くの人にお会いすることで、商品開発に関する色んなヒントがもらえたりします。だから、広報活動はできる限りは経営陣がやるべき、私や役員がやっていくべきだと思っています。

ー色んな人に会って「話を聞く」というのを大切にされているんですね。今、広報活動において課題はありますか?

はい。声をかけてもらったらお調子者のようにどこにでも行くようにしていますが(笑)、

広報活動が自社の売り上げに繋がらなければいけないので、声がかかるのを待っているだけではダメだと思うんです。会社やサービスを知ってもらうための活動がまだまだ不十分なので、そこをもう少し戦略的にやっていきたいですね。例えば、日本縦断じゃないけど北海道から沖縄まで小さい勉強会みたいなのを作ってキャラバンしていくみたいなこともしていきたい。

ー今、SNSは活用していますか?

50歳を過ぎているおじさんなので、SNSから逃げていたんです。(笑)でも始めなきゃいけないと思って最近TwitterFacebookを始めました。インスタグラムもぼちぼちやろうかなとアカウントを作ったところです。これからは広報活動としてSNSも活用していかなくちゃいけないなと思っています。

女子アナ広報ワンポイントアドバイス!

貴社の場合のSNSは、広く多くの方にというよりも、主なターゲットである医療関係者に届くように、戦略を立てた上で毎日発信し続けることが大切かもしれませんね。

夢はサッカーのチャンピオンズリーグ決勝チームのユニフォームに「kanata」を

ー最後に、会社としての今後の目標や夢を聞かせてください。

2つあります。1つは「一所懸命生きる人々を支えたい」という社是を実現するために会社としてもっと体力をつけないといけない。我々が提供するサービスも含め、貢献的な活動も含めて、誰かを支えられる存在になりたいと思っています。

もう1つは、サッカーのチャンピオンズリーグで、決勝で戦うチームのユニフォームのスポンサーになるという夢があります。というのも、息子はサッカーが大好きだったんですよ。だからユニフォームに「kanata」とつけてあげたい。私たちのサービスが多くの人に届き、助けることができたら、わがままをさせてもらいたいと思っています。ご褒美として。

【取材後記】

取材の冒頭、私も2児の母であることをお伝えすると、「今日はパパ友、ママ友としてお話ししましょう」とおっしゃってくれた滝内社長。私自身、子供が風邪を引いたり怪我をしたりするとその度にオロオロしてしまいます。そんなときにお医者さんがしっかりと我が子を見て、「大丈夫ですよ」と言ってくれたらそれだけで心が軽くなるという経験をたくさんしてきました。滝内社長が提供するサービスがもっと医療の世界に広がって欲しいと思いました。

いつの日か「kanata」が入ったユニフォームを着ているチームをスタジアムで応援したいです。

滝内冬夫社長 プロフィール

■kanata株式会社 代表取締役 滝内冬夫社長

1970年 東京都生まれ。

慶應義塾大学経済学部を卒業後、シンクタンク勤務を経て、電子カルテに関する研究に参画。

201811月 kanata株式会社を設立

20191月 医療秘書機能付きクラウド電子カルテ「Voice-Karte」をリリース

20209月 構文解析技術と音声認識、RPAを組み合わせたツール

      「スマート医療秘書kanata!」の提供を始める

20221月 「診察のための音声認識kanaVo」リリース

 

企画・制作
女子アナメディアPR局

アナウンサー紹介

大阪出身。地元であるNHK大阪放送局などNHKで8年間報道番組に出演。全国放送での「ニュースキャスター」や「中継リポーター」を数多く経験し、度胸と臨機応変さを身につけました。現在は東京在住。フリーアナウンサーとしてイベントMCやナレーション、企業VPなど幅広く活動中。一児の母でもあり、子育てを通じて「絵本」の魅力を改めて感じ、YouTubeで「アナウンサーが読む絵本」を配信中。撮影、編集にも挑戦。また、防災士の資格をいかして、防災に関する動画も制作。