2022.04.11
2030年には最大で79万人が不足すると言われているIT人材。(2019年3月経済産業省による調査)日本のIT人材育成は急務とされています。「IT業界は闇深いと言われていて、メディアでも取り上げられにくい」と話すのは、ルートゼロの代表取締役、柴田侑亮さん。
柴田さんはソフトウェアの開発、web制作、IT人材紹介といった開発事業と人材事業を展開するほか、未経験者を育成するプログラミングスクールを運営し、日本のIT人材不足の解決に積極的に取り組んでいます。女性活躍の場を作り、あっと驚く福利厚生を打ち出すなどIT業界のイメージ刷新を目指す柴田さんにお話を伺いました。
【聞き手:石田鮎美(女子アナ47 元NHK大阪放送局キャスター)】
一番儲かる投資は自己投資!「カンパイ手当」とは?
ーIT業界の人材離れが進んでいると言われています。御社は人材離れに対してどんなことに取り組んでいますか?
「闇深い」とか「ブラックボックス」と言われることの多いIT業界ですが、我が社は社員たちが家族や友人に誇れる仕事ができるように、公正で明瞭な企業活動を行っています。私は、人生をかけて社員たちと向き合っています。
その一環として、社員のために多くの福利厚生を取り入れています。仕事を続けるためには「仕事を楽しむ」という姿勢が大切で、自身が日々成長し出来ることが増えていくと、自然と仕事は楽しくなると思うんです。そこで、成長のための自己投資に関する福利厚生を充実させています。我が社の福利厚生の9割くらいが自己投資に関するものなんです。
例えば、「Getライセンス」と名付けた福利厚生は、資格取得にかかった費用を全額補助するものです。また、外部の勉強会への参加を推奨していて、一人ひとりに月に1万円の予算を与えています。そのほか、書籍購入費に関しても会社から支給するようにしています。自己投資するきっかけをたくさん与えられる会社にしたいと思っています。 NISAなどの投資が流行っていますけど、「一番儲かる投資は自己投資」と社員には日々話しています。
ー面白いなと思ったのが、社員間での食事に対して一人1000円支給される「カンパイ手当」。これは本当に羨ましいです。
システムエンジニアの社員はクライアントに派遣されてそれぞれの現場で仕事をすることが多いので、社員同士の繋がりがどうしても薄くなりがちなんです。「カンパイ手当」や様々なサークル活動を充実させることで、社員同士が交流できる場を提供しています。ルートゼロは、システムエンジニアを含めて、社員同士がとても仲がいいんです。私も社員たちと距離を作らないために、社長と呼ばせていないんです。社長と呼ばれるのは壁を感じるので嫌いです。敬称に頼ったり、偉そうにしたりしてほしくないので、社員の間でも敬称で呼び合わないようにしています。
ー私は何とお呼びすればいいでしょうか?(笑)
普通に、柴田さんで大丈夫ですよ。「シバっちゃん」とか呼んでくれてもいいですけど。(笑)
社員からも柴田さんとか、下の名前とか、「シバっちゃん」って呼ばれることもあります。
SDGsに取り組むことが「家族に誇れる働き方」に
ーSDGsに関する取り組みはされていますか。
はい。自分が今、仕事ができているのは家族のおかげだと思っているので、妻と娘が他人に自慢できる仕事の仕方をしたいと思っています。常に、正しく、家族に恥じないような考え方でビジネスを進めていきたい。なので、経営者として、直感でSDGsに取り組むべきだと思いました。
ルートゼロでは、SDGsの達成目標の中で、「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」「人や国の不平等をなくそう」の5つの目標に取り組んでいます。まだまだ出来ることは少ない会社ですが、社会のために出来ることから少しずつ始めていきたいと思っています。
ー今、特に力を入れている取り組みは何でしょうか。
「ジェンダー平等を実現しよう」に関しては、男性中心のIT業界のイメージを刷新すべく女性の積極採用を行なっています。女性管理職も大歓迎です。子どもがいる女性も働きやすい会社にしたいと思っていて、その一つとして将来的には病児保育ができる保育所を開所したいとも考えています。子どもが風邪をひいても安心して仕事に行ける環境を整備したいです。もちろん、男性が育児休暇を取れるように働きかけるということも積極的に行っています。
“しゃべり”が強み!採用につながるYouTubeチャンネル
ー続いては、広報活動についてお聞きします。IT業界は「ブラックボックス」「闇が深い」とお話がありましたが、広報活動への課題や悩みはありますか。
石田さんのようなアナウンサーさんは、どんな仕事か誰もがわかるじゃないですか。でも、僕らみたいなITの世界って世の中の人からすると結構実態がわからないですよね。なので、自分たちから積極的に広報しないとIT業界で今どんなことが起きているのか、メディアでも紹介されにくいと思います。
ルートゼロでは広報委員会というチームを立ち上げて、どうしたら僕たちの会社をもっと知ってもらえるのかなとか、僕たちの理念が一人でも多くの人に届くかなというのを日々のミーティングで考えています。
ーいかに社会問題、社会課題とマッチングさせた題材を作って売り込んでいくかが重要ですよね。
そうですよね。売り込む方法のひとつとして、自分がいちタレントとしてメディアに出るというのも良いかなと思っています。僕はいわゆる普通のビシッとした経営者とは少し違うじゃないですか。こんなキャラクターなので、同業者の中では目立ちやすいと思うんです。メディアに出てペラペラ喋りたい奴ってIT業界にはあんまりいない。それができるのが僕の強み、会社のカラーになるんじゃないかと思います。
ー柴田さんが自ら出演するYouTubeチャンネルなんかも面白そうですね。
すでにコーポレートムービーや採用動画は作っているんですよ。今年は、広報チームで予算をとって動画制作に力を入れてもいいかなと思っています。Youtubeチャンネルとして再生回数を稼ぎたいとか、チャンネル登録者数を増やしたい、というよりも、動画を見た人がうちの会社をイメージしやすくなって、採用に繋がる、みたいな。そういう役割のメディアにしたいですね。
手が届く人を必ず幸せにする。社長の強い想いとは?
ー最後に、柴田さんが経営される中で大切にしていることを教えてください。
「今、手が届くひとを必ず絶対に幸せにする」です。社会を変えるとか、世界を変えるとか、日本のIT人材不足を解決するとかミッションみたいなのってみんな持っていると思うんですけど、夢が大きすぎて、一番大事にしないといけない人を大事にできていないっていう人が結構多いと思っています。今、自分がこの環境にいられるのは、誰のおかげやろうと考えたら、絶対に自分だけの力じゃない。家族や社員たちのおかげです。家族や社員を幸せにできる経営をしていきます。その人たちを幸せにしないと、俺、来世で虫とかになるんちゃうかな。(笑)
【取材後記】
柴田さんは会社の経営だけでなく、IT人材不足の解決という大きな課題に取り組む中でも、土日は仕事をしないと決めているそうです。その理由は、9歳の娘さんとデートをするからだとか!公園に行ったり、買い物に行ったり、娘さんとの時間を大切にしていて、「仕事を言い訳に子どもと向き合わないしょうもない大人になりたくない」と話していました。「頼れる仲間が、社員がいるからできることなんですけどね」と言い切る「シバっちゃん」が、とってもまぶしく見えました。
柴田侑亮社長 プロフィール
■株式会社ルートゼロ 代表取締役 柴田侑亮
1984年9月21日生まれ
大阪府高槻市出身
高校卒業後、音楽成功を夢に全国でライブ活動を行う。その後、ライブなどが行えるBARを経営。その傍ら中古自動車販売業を立ち上げる。
結婚を経て社会人としての経験を積むためにブライダル関連事業を営むベンチャー企業に初めて就職。30歳の時にIT業界に転職。
2016年に株式会社ルートゼロを創業する。
企画・制作
女子アナメディアPR局