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標本が美しいアートに!生物の造形や多様性を学べる透明標本展【石川県】

目次

 石川県在住のフリーアナウンサー・多賀祐子です。2年間PTA会長を務め、現在も役員として、保護者の立場からお手伝いできることを考えながら、教育環境の充実に尽力しています。子どもは中学1年、小学4年に進級したので、知的好奇心を刺激するような学習ができれば・・・と思っていたら、おもしろい展示会が金沢にやってきました。新世界『透明標本』展です。

震災の影響を受けた金沢21世紀美術館


 展示会場は金沢21世紀美術館。2024年1月1日に発生した能登半島地震の影響で、有料の展覧会ゾーンは、天井のガラス板が剥落するなどの損傷がありました。現在は一部エリアを除いて営業を再開しており、5月1日からは、観光客に人気の大型展示作品「スイミング・プール」への入場も再開しました(地上部のみ)。
 震災以降、観光客の減少に悩む石川県ですが、例年のような賑わい、とまではいかないものの、徐々に観光客も戻ってきていると感じました。6月22日には、館内の全展示ブースにて営業再開する予定です。

美しすぎる透明標本

透明標本作家の冨田伊織さん(左)

 美術館で開館直後から行列ができていたのが、透明標本作家・冨田伊織さんが手掛ける『透明標本』展です。
 透明標本は、タンパク質を酵素により分解し肉質を透明に、硬骨を赤紫色に、軟骨を青色に染色するという、小型生物の骨格研究のための技法を用いたもので、染められた標本は、まるで鉱物のような美しさを放っています。魚類を中心に、うずらなどの小型鳥類、爬虫類などの標本が、解説と共に展示されています。

じっくりと観察することで新たな発見も

 子どもたちも興味津々で標本に見入り、新たな発見が沢山あったと教えてくれました。例えば、カメ。カメの甲羅は、実は肋骨や背骨が変化したもので、傘の骨のように甲羅の表面を支えるような構造になっているんです。「カメの甲羅は背中の骨なんだね!」と驚いていました。
 また、タツノオトシゴには、腹部あたりに袋のような膨らみがあるものと(青色に染まっている)、ないものがあります。これはオス・メスの違いですが、袋があるほうがオスで、オスがその袋の中で卵を育てるんです。そのような生態の不思議も、じっくりと観察することで知ることができました。

成長の過程を知ることができる

 また、カエルの成長過程も、骨格を比較することで知ることができます。カエルの前足は、オタマジャクシの頃はどうなっているのでしょう?実は前足は、脇をキュッとしめるような形で折りたたまれた状態になっていることが分かりました。
 どの標本もケースに入っているので実際に触ることはできませんが、多くの標本は、箸で持てるほど丈夫なんだとか。タツノオトシゴは、指で弾くと「コンコン」と音が鳴るくらい硬いそうです!もっともろいのかと思っていたので、意外でした。作家の冨田さんは、透明標本に触ることができるワークショップも開催しているそうなので、興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。
https://shinsekai-th.com/ja/works/

生物の神秘に触れる不思議な世界

 会場内には光と音で標本を彩るコーナーもあり、柔らかな灯りに照らされた標本たちが、音楽に合わせて今にも踊り出しそうな幻想的な空間でした。海の生き物が多かったので、ディズニーの『リトル・マーメイド』のような世界観だと感じました。

 生き物の骨格をこんなにもじっくりと観察することは、今までありませんでした。標本がアートのように美しいからこそ、小さな骨の一つ一つを見て、その造形の神秘を楽しむことができました。5月26日まで開催していますので、お近くの方はぜひ、この不思議な世界を堪能してみてください。

新世界『透明標本』展 冨田伊織
4月26日(金)~5月26日(金)〈会期中無休〉
金沢21世紀美術館
10時~18時

アナウンサー紹介

9年間務めた金沢ケーブルでは、生放送の情報番組や通販番組のMCを担当。自社制作アニメ番組の主題歌を歌うなど歌手デビューも。石川県内すべての民放局とNHKの番組でリポーターを経験。企業動画やCMナレーションが得意でこれまで180作以上を担当。芸能プロダクションで発声滑舌レッスンの指導、親子のコミュニケーション力を高めるマザーズコーチングスクールのマザーズティーチャー、表現力を磨くファミリースピーチアカデミーの講師、お菓子教室の先生など講師業にも力を入れている。2児の母で小学校PTA会長。