2022.02.28
「フェムテック」という言葉をご存知ですか?
Female(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性が抱える悩みや問題をテクノロジーによって解決する商品やサービスのことです。
2021年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされるなど注目度が高くなっています。
女性ならではの悩みを女性の視点で解決したいとボディケア商品を開発した株式会社lojus(ロフス)代表取締役 田中麻里奈社長。
商品を通して女性の身体のデリケートな箇所をケアすることの大切さも伝えています。
そんな田中社長にインタビューをさせていただきました。
【聞き手:大下佳菜(女子アナ47 元NHK長野放送局・NHK静岡放送局キャスター)】
世界13ヶ国で展開!〜ニッチな市場に特化したケア商品を開発
ー御社はどのような会社か教えていただけますか。
大きく2つあります。
自社ブランド「MAPTI(マプティ)」を展開しています。2016年に立ち上げたボディケアブランドで、女性のデリケートな箇所をケアする商品を中心に企画、開発して販売しています。
当時自分がケアしたいものがなかったんですよね。ニッチな市場で競合が少ない、かつ私と同じような思いをする女性が増えるかもしれないと考えたときに、勝負をかけるしかないと思ったのがパーツケアにフォーカスを置いた理由です。
現在は世界13ヶ国で展開させていただき、「フェムテック」という言葉も日本にも広まってきている中、追い風となっています。
ー2つ目はなんでしょうか?
ベンチャーだからこそ事業内容にこだわらず、社員がやりたいこと、それが収益が出ることであれば挑戦してもらっています。現在はペット商品の卸をしたり、物流業務の受託をしたりもしています。
なんのために働くのか?自分の得意分野を生かす
ーコロナ禍でコミュニケーションが取りづらくなっていると感じますが、御社ではいかがでしょうか?
コミュニケーションは、これまで会社員をやっていた時と比べると密にとっていると思います。
社員とは距離が近く、毎日顔を合わせているんで、表情を見て疲れているな、なども嫌でも把握できる環境にあるんです。
私が経営者としてこだわっているのは、社員全員の名前が言えるのはもちろんのこと、誕生日を把握しているとか顔を見て体調の良し悪しがわかるとか…それが大切にしていることですね。日々よく話をしています、仕事の話からプライベートの話から。
ー普段社員の皆さんにはどんなことを伝えていらっしゃるんですか?
「働くために生きているわけではなく、人生を豊かにするために働いているんだよ」って話をよくしています。家族・社員・恋人、自分の両手で抱えられる人が人生を心から楽しいと思っていて、日々笑顔でいることが大切だと思っています。
ビジネスなので収益をあげることが必須、そこに近づけられるのが自分が得意なことだと思うんです。社員もそれぞれビジネスの経験を積んでいるので自分自身の得意分野を生かしてできることはなんでもしていきます。
視聴回数は1億回超え!TikTokを使用した広報施策
ー田中社長にとって広報や広告はどのようなものだとお考えですか?
「広報は会社を売りに行くもの」「広告は商品を売りに行くもの」だと考えています。
ー広告はどのようなことを行っているのでしょうか?
SNSを使ったインフルエンサーマーケティングを行っています。弊社はインスタ、TikTokがメインです。他にも商品を使ってもらい感想を投稿してもらう口コミ施策、Webマーケティング、リスティングを行っています。
ーTikTokで#(ハッシュタグ)チャレンジ」を行ったんですよね。
一定の期間に指定の音楽やエフェクトを使用して動画を投稿してもらうキャンペーンですが、どのくらいの動画が投稿されたんでしょうか?
投稿された動画の数は1100、視聴回数は1億回は超えています。
この「#チャレンジ」は私たちにとってもチャレンジングであり、大成功を収めているんです。
2020年12月から2021年2月の3ヶ月間にわたって行いました。この時期に「#チャレンジ」を行っている会社はほぼなかったんですよ。運営しているTikTokや海外ブランドを扱う大手企業がやっているだけでした。
美容系のベンチャー企業が行ったのは私が聞いている限りだとほぼ初の試み、珍しかったんですよ、すごく。だから1億回再生も行きましたけど、私が聞いている限りだといまは2000万回再生が限度だそうです。
ー数字からも成功したことが分かりますね。どうしてTikTokを選ばれたんですか?
当時の最大メディアで注目を集めたいと思ったからです。「#チャレンジ」を行った時期、TikTokは10代から30代が多いメディアだったんですよね、特に投稿や発信をせず閲覧を楽しむ30代が増えた時期でもあって。弊社のメインターゲットは20代ー30代なので、商品をまずは見てもらいたい、ロゴを見てもらいたい。街中やターゲティングで追いかけた時に「あ、これ見たことあるぞ」って。
商品やロゴを3回見ると人は欲しくなると私は思ってるんですよ。
ー音楽やエフェクトも印象的でしたね。
コンバージョンを上げるには縦動画!
ーYouTubeチャンネルを立ち上げ、動画でご自身が商品を説明していらっしゃいますね。始めたきっかけはなんですか?
元々は表に出たくないタイプなんですね、本当は。全然顔なんて出したくないですし。
きっかけは、以前広告代理店の方と話をした時に商品の良さなり、熱さ、思いが一番刺さるのは本人でしょと言われたこと。あとは年齢が若いということ。ユーザーの方々と年齢層も近いからこそ自分で話して伝えていくべきだ、ファンづくりってとこですね、一番は。
ものを売るために必要なことはなんでもやりたいと思ってるので、ちゃんと商品を1つ1つ紹介していこうというのが理由でやっていますね。
ーさらに商品をイメージしたアニメーションを投稿していますが、縦向きの動画なんですね。テレビやYouTubeは横向きの動画が多い中でどうして縦向きにされたんでしょうか?
インスタグラムのストーリーズサイズで作ったというのが大きいですね。
弊社はネット広告の流入元としてインスタグラムが一番コンバージョンが高いです。フィード(投稿)ではなくてストーリーズが動きがいいんです、今は。
もちろんリサイズして横向きの動画も制作できますけど、デザインを変えなくてはならないので。費用を考えたときにストーリーズを優先しました。やっぱりスマホ向けってところですね。
ーターゲットとしている20代から30代がスマホで情報を見ることが多いからですか?
ターゲットがスマホで見るというよりも、日本全国で見ても売り上げの過半数はスマホで購入しているというデータを見たことがあります。
Webマーケティングはスマホに対する何かではいけないと思っています。
認知をあげた上でのブランディング!かっこいいものでありたい
ー田中社長がこれから目指すものはどんなことでしょうか?
今までやってきたのはコンバージョンに繋がること。商品の認知も上がってきたと思います。ここからはブランディングをしていくことが重要だと思っています。
あとはケアの意識を高めたいと思っているんですよね。これはSDGs5.1「あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する」にも繋がると考えていまして、デリケートな箇所のケアはこどもを産むためにも必要なことなんですよね。それなのに触れにくいものになってきているじゃないですか。
そのためにもブランド「MAPTI」がかっこいいものでありたいんですよね、持っているとかっこいいものにすることでケアへの意識も変わってくるんじゃないかと思っています。
【取材後記】
好きな言葉に「仁義」と挙げられた田中社長。英語では「love(愛) & justice(正義)」と訳されることが多いようで、その言葉が素敵だと考え社名にも取り入れたそうです。
これまでの経験を元に女性ならではの視点で経営者として会社を引っ張る田中さんには新しい商品やコンテンツが生まれていくのがとても楽しみです。ブランド「MAPTI」は香りも大切に商品開発をしているとのことでしたが、甘くほんのりと花のようでとてもいい香りでした。
田中麻里奈社長 プロフィール
■株式会社Lojus 田中麻里奈(たなか・まりな)社長
1988年生まれ。父親の仕事の関係で幼少期を中国、シンガポール、マレーシアで過ごす。
青山学院大学卒業後、IT企業に入社。その後2015年に26歳で株式会社lojusを設立して代表取締役に就任。2016年に自社ブランド「MAPTI」を立ち上げ、海外展開も積極的に行っている。
座右の銘は「人生プラマイゼロ」
企画・制作
女子アナメディアPR局