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念仏を唱えながら餅つき!倶利伽羅に伝わる不思議な赤餅【石川県】

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 石川県在住のフリーアナウンサー・多賀祐子です。先月、石川県・津幡町にある倶利迦羅不動寺で開催された「厄除け念仏赤餅つきオープニングセレモニー」の司会を担当しました。コロナ前まで毎年司会をやっていた餅つきイベントで、今年は感染対策として規模は小さくなったものの、無事に執り行うことができました。八重桜が咲き誇るこの時期にしか食べられない「念仏赤餅」とはどんなお餅なのか、ご紹介します。

いたずら猿を改心させた赤餅

 倶利伽羅源平合戦の舞台となった倶利伽羅峠で毎年開かれている「倶利迦羅さん八重桜まつり」。八重桜まつりが始まるのを前に、4年ぶりとなる「厄除け念仏赤餅つき」が、石川県・津幡町の倶利迦羅不動寺で行われました。そもそも「念仏赤餅」とはどんなお餅なのでしょうか。五十嵐光峯住職によりますと、こんな言い伝えがあるそうです。
「昔、 倶利伽羅山頂で悪さをする猿たちがおり、そこを通る旅人たちはほとほと困っていました。ある日、和尚さんにお不動さまからのお告げがあり、赤く塗った餅を猿たちに与えたところ、それをおいしそうに食べ、それからは二度と悪さをしなくなったそうですよ。」
お猿さんは餅のおいしさから改心したのか、それともお不動さまが正しい道へと引き戻してくださったのか・・・とても不思議な言い伝えですよね。そんな念仏赤餅は、八重桜まつり期間中にしか味わうことができない名物和菓子。ほんのり塩味がきいたシンプルな味で、私も大好物です。そして、この赤餅をつきあげる「厄除け念仏赤餅つき」は、毎年恒例のビッグイベントなんです。

毎年大人気の厄除け念仏赤餅つき

 例年、厄除け念仏赤餅つきには県内外から大勢の参拝客が参加します。御祈祷を受けたもち米を使い、臼4台を用意して多くの方に赤餅をついてもらい、つきあがった餅は一口大にちぎり、笹でくるんでふるまわれていました。用意したすべての赤餅がつきあがったら、境内にいる参拝客全員で、住職の掛け声に合わせて「いただきます!」と赤餅を食べるのが習わしでした。
しかし、コロナ禍でここ数年は餅つきを開催することができず、毎年司会をしていた私は、このイベントを通して春爛漫のふるさとの美しさと町の人の温かみを感じていたので、さみしい気持ちでいっぱいでした。
今年は、感染症対策として参拝客の餅つきへの参加やふるまいなどは行わず、主催者と来賓の少人数でオープニングセレモニーを開催することになりました。五十嵐住職が念仏を唱える中、白装束姿に身を包んだ方々をはじめ、津幡町の矢田富郎町長や富山県小矢部市の桜井森夫市長らが赤い餅をついていきました。

提供:津幡町商工会

約6000本の八重桜が咲く倶利伽羅峠

 念仏赤餅のピンク色は、八重桜の花びらのような明るい色が特徴です。およそ6000本もの八重桜が植えられている倶利伽羅峠では、毎年4月中旬から下旬にかけて、津幡町商工会と小矢部市商工会が主催する「倶利迦羅さん八重桜まつり」が開かれます。今年は気温が高い日が続いたため平年よりも早く開花したそうですが、境内はちょうど満開で、まんまるの愛らしい花をめでることができました。道中にある散り際の桜もまた、風情があっていいですよね。お土産用にと赤餅や桜餅を買い込んだせいか、どの桜もとてもおいしそうに見えたのは、ここだけの秘密です。

念仏赤餅をはじめ津幡・小矢部の和菓子がずらり

 八重桜まつりの期間中とその前後には、津幡町と、隣接する小矢部市の両菓子組合による和菓子まつりも開催されました。

念仏赤餅以外にも、桜餅やかしわ餅、おはぎ、おこわなど自慢の品が並びます。今年の和菓子まつりは4月15日~21日・5月1日~5月7日まで開催でしたので(念仏赤餅は4月15日~5月7日まで販売)、今年買いそびれてしまった方は、ぜひ来年お越しくださいね!
来年は多くの参拝客が、厄除け念仏赤餅つきに参加できますように。

アナウンサー紹介

9年間務めた金沢ケーブルでは、生放送の情報番組や通販番組のMCを担当。自社制作アニメ番組の主題歌を歌うなど歌手デビューも。石川県内すべての民放局とNHKの番組でリポーターを経験。企業動画やCMナレーションが得意でこれまで180作以上を担当。芸能プロダクションで発声滑舌レッスンの指導、親子のコミュニケーション力を高めるマザーズコーチングスクールのマザーズティーチャー、表現力を磨くファミリースピーチアカデミーの講師、お菓子教室の先生など講師業にも力を入れている。2児の母で小学校PTA会長。